”もったいない”
誰もが一度は使ったことのある日本語だと思います。実はこの日本語は「MOTTAINAI」として世界でも共通して通じる言葉でもあるんです。
「もったいない」には、無駄をなくすということだけではなく、命あるものに対する畏敬の念が込められています。そのような言葉は他には世界中どこを探してみつからないので、世界共通の言葉として「MOTTAINAI」が広がりました。
しかし、「もったいない」の生みの親である日本では、毎日大量の食べられる食品が捨てられています。この食品ロス問題は、私たちに非常に近くて根深い問題として長年解決されていません。そんな食品ロスの問題を解決するヒントをくれるのが、映画『もったいないキッチン』です。
今回は、私たち自身の問題をしっかりと把握するためにも、絶対に観るべき映画である『もったいないキッチン』について紹介していきます。
目次
『もったいないキッチン』のあらすじ
※もったいないキッチン公式サイトより画像引用
「もったいない」の精神に感銘を受けたオーストリア人の映画監督ダーヴィド・グロス。食材救出人とも呼ばれる彼が、4週間日本に滞在してキッチンカーで各地を周り、捨てられる食品を次々救出して美味しい料理にしていくというロードムビーです。
そこには、日本各地で暮らす人々の暮らしは、どのようにして「食」と関わっているのか、持続可能な社会にするためにはどうするかなどのヒントが散りばめられています。
決して「食品ロス」について語っただけの映画ではない!
※もったいないキッチン公式サイトより画像引用
『もったいないキッチン』の面白いところは、食品ロスという問題にしっかりとフォーカスしながら、「食そのものとどう向き合うか」を考えさせてくれる点にあります。決して食品ロスについてだけ語った映画ではありません。
実際この映画を鑑賞した後には、「コンビニのあり方」「食との向き合い方」「昆虫食の可能性」「日本の原風景の素晴らしさ」「福島農家の苦悩」「アート×料理」「持続可能な食産業」「デロリアン」などなど・・・いろいろ観点に思考が及びました。
このように様々なキーワードで語る事ができる映画なので、
- 食品ロスに興味がある人
- SDGsや社会問題に興味がある人
- 旅が好きな人
- 美味しいものや料理が好きな人
などいろいろな人が楽しめる映画になっています。
最も身近な食品ロスである「コンビニ食」
※もったいないキッチン公式サイトより画像引用
私たちが毎日使うコンビニでも、大量の食品ロスが発生しています。あれだけ品揃えがよく、24時間営業しているので想像できますよね。そして多くのコンビニは、食品ロスが発生しても社員やバイトが持って帰ることもできません。
さらにコンビニに食品を供給する業者でも、大量の食品廃棄が行われています。コンビニからの注文数に足らない数量で納品してしまうとペナルティがあるので、たとえ捨てることになっても多めに作る方が安くついてしまうからです。
もし、「食品を捨てることいいことだとは思いますか?」そう質問したら、ほとんど全ての人が「いいことではないです。」と答えるでしょう。それでも食品は毎日大量に捨てられています。それは、こういったシステムの問題がそうせざるを得ない状況を作っているとも言えます。
こちらの記事でも紹介しましたが、No Food Lossというアプリなどがより普及していくことで、コンビニの食品ロス問題は少しずつ解消していくかもしれませんね。
食品を捨てるのは殺すことと同じ
※もったいないキッチン公式サイトより画像引用
左から、映画監督ダーヴィド・グロスさん、食品ロスジャーナリスト井出留美さん、塚本ニキさん
食品ロスに関する問題の専門家である井出留美さんはこの作中で、「これらの食品は命があり、その命をもらって私たちは生きている。もしこれらの食品が生きていると感じられるなら簡単に殺すことはできない。つまり捨てることはできない。」このようなことを言っていました。
ほんとにその通りです。「食品ロス」問題の本質は、みんなが「食」自体を軽んじている点です。それはもちろんシステムの問題もありますが、それも突き詰めていけば「食の軽視」が根幹にあるような気がします。
食とは何かしらの命を頂くという当たり前のことを、私たちは本当に心の底で腹落ちして理解しているのでしょうか?
※もったいないキッチン公式サイトより画像引用
例えば、作中にでてきた住職の方も言っていましたが、食事する時にスマホを見ながら適当に食と向き合っていないでしょうか?その食に対して、特段の感謝をすることもなく。
その適当に向き合って頂いた命も、何日か後には自分の血となり肉となり骨となります。
そう考えたら一食一食、一つの食材一つの食材がとても重要な存在であると認識できそうですよね。ましてや、捨てたり無駄にすることなんてなくなるような気がします。
食としっかりと向き合っている人は、いきいきとしている
※もったいないキッチン公式サイトより画像引用
映画全体を通して、つくづく「食」は人と人を繋ぐという事が分かります。そして、この映画に出ている人みんないきいきしてます。特にそこが印象的でした。
資本主義社会に疑問を抱き自然との共生を掲げるパン屋さん、鰹節にモーツァルトを聴かせている鰹節製造業の瀬崎さん、福島県で風評被害に苦しみながら戦っている農家の方、京都で野草を自ら採りにいき生活している82歳のもったいないばあちゃん、などなど・・・。
みんな信念をもって食に向き合い、「もったいない」という精神で確かに繋がっており、そしていきいきしています。
この映画が導き出すひとつの答え
※もったいないキッチン公式サイトより画像引用
『もったいないキッチン』は食との向き合い方を変えてくれる可能性のある映画です。日本の現状をしっかりと映し出し、もったいない精神に満ちたアイデアが散りばめられたこの映画は、あなたにとっての食の概念を変えるかもしれません。
それは、一人一人が食について真剣に考えることに繋がり、ひいては食品ロスを削減させることにも繋がります。そんな可能性を感じさせる『もったいないキッチン』。気になる人は是非ともご覧ください。