『ハニーランド 永遠の谷』自然との共生・貧困・孤独の現実を映し出す物語

ハニーランド

ギリシャの北に位置するマケドニアの電気も水道もない谷で暮らす、自然養蜂家の女性を追ったドキュメンタリー『ハニーランド 永遠の谷』。

3年をかけ400時間にも及ぶ撮影された本ドキュメンタリーは、アカデミー賞において、ドキュメンタリー映画賞部門だけでなく、国際映画賞(旧・外国語映画賞)部門にもノミネートされるというアカデミー賞史上初めての快挙をなしとげました。

そんな「自然との共生」について考えさせてくれる『ハニーランド 永遠の谷』について紹介していきます。

以下ネタバレを含みますので、まだみていない人はご注意ください。

あらすじ

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ハニーランド 永遠の谷 公式サイトより画像引用

主人公は、首都スコピエから20キロほど離れた、電気も水道もない故郷の谷で、寝たきりの盲目の老母と暮らすヨーロッパ最後の自然養蜂家の女性。「半分はわたしに、半分はあなたに」それが持続可能な生活と自然を守るための信条。しかし、彼女の平和な生活は、エンジン音とともに7人の子供と牛たちを引き連れてきた一家の襲来で激変する…。

ハニーランド 永遠の谷 公式サイトより引用

会話が多いわけではなく、自然・主人公の女性・隣家族を淡々と写し出して物語は進んでいきます。物語の冒頭部分に切り立った断崖で、天然の蜂の巣に手を伸ばすシーンがありますが、そのシーンがあまりに雄大で冒頭から私は心を掴まれました。

突如隣に越してきた一家(主に父親)は、明らか主人公とは違う価値観を持っています。特に「自然との共生」という観点では相容れない違いがあります。

半分はわたしに、半分はあなたに

ハチミツ

主人公の女性は、ハチミツを売ることで生計を立てています。しかし収穫の際、一度に全てのハチミツを取ろうとは絶対にしません。

主人公はこう口にします。「半分はわたしに、半分はあなたに」と。

つまり、全てをとるのではなく必要な分だけをとることで、人間もハチも持続的な共生ができるという考えているのです。また一つの巣を全てを取ると、別の巣のハチと争ってしまうという理由もあります。

実際、劇中でも隣の家族が所有している蜂の巣を全て取ると、近くにある主人公が持っている巣のハチと争って多くのハチが死んでいる描写も。

一方の隣家族は、家族を養うことができないのでとにかく目先のお金が必要な状態。「持続的な共生」など当然考えることなく全てのハチの巣を根こそぎとってしまいます。

村から出れない孤独な介護

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ハニーランド 永遠の谷 公式サイトより画像引用

このように突如現れた隣家族との軋轢が深まり、別の場所に出ていきたくなる主人公ですが、村から出るという決断ができません。

なぜなら一緒に住んでいる老母の介護する必要があるからです。

逃げ出したくても逃げ出すことのできない現状に、今までの人生で取らなかった選択は正しかったのか?別の形の人生を歩んだ方がよかったのではないか?と、主人公は逡巡します。

結末は、実際に観て確認していただけたらと思いますが、雄大な自然と主人公を写し出したラストシーンは孤独・悲しみ・逞しさで溢れており、みたものの心を打つでしょう。

まとめ

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ハニーランド 永遠の谷 公式サイトより画像引用

思わず台本があるんじゃないか?と思ってしまうようなドキュメンタリーで、遥か遠くの国の人々のリアルな姿を観る事ができます。

「自然との持続的な共生」は、まさに今私たちが立ち向かうべき問題であり、避けては通れない問題でもあります。そんな問題を、自然の中で暮らしている主人公の姿を通して考え直すきっかけにもなります。

明らかに私たちと価値観が違うので、カルチャーショックをうける場面は多いかと思いますが、人間のあり方として本来あるべき姿をみてるような気持ちになる映画です。

上映している映画館はそんなに多くはありませんが、観てみる価値のある映画である事が間違い無いでしょう。

ハニーランド 永遠の谷 公式サイト

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