突然ですが、ガキの使いの名物企画でもある「ききシリーズ」を見たことがありますか?
目隠しをした状態である食品を食べ、その後目隠しを外して様々なメーカーが出している類似食品の中から最初に食べたメーカーの食品を探し出す、という企画です。
今まで行われた食品は、ヨーグルト、焼きそば、食パン、焼肉のたれ、味噌汁、チョコレート・・・etc
長く続いているこの企画を見て、「こんなの誰でも当てれるだろう!」と、思う人も結構いるでしょう。
しかし、1度実際にやってみてください・・・
これ、めっちゃ難しいです・・・!
なぜか?それは、人間は食事をする時には、視覚的要素が大いに影響を与えているから。そこで今回は、「料理(食)」と「見た目(視覚)」の不思議な関係について解説していきます。
最初の味は目で感じる?
料理の見た目は、味や香りと同じくらいに重要だとされています。
なぜなら味覚自体も視覚の影響を多く受けているからです。
例えば、こんな実験がありました。白ワインを濃い赤色に人工的に着色し、人々に飲んでもらいます。すると、全ての人が白ワインであると見抜けず、そのグラスから赤ワインの香りがすると答えたそうです。
驚きですよね。。。
予測によって味は変わる
まず私たちは、料理や飲み物の見た目で味を予測します。その色調や発色を見て、経験からこういう味だろうと決めつけて味わうのですね。
なにかを味わう時は、見た瞬間から始まってるとも言えます。
特に、下の記事でも紹介している「昆虫食」などは見た目問題の最たるものと言えそうですね。いくら昆虫食がおいしいとしても、その見た目ゆえに食べる気にもならないし、食べてもおいしさが半減しています。
そう言えば、むかし「青いカレー」をお土産でもらったんですけど、正直ものすごく食欲をなくす色でした・・・。
(青い富士山カレーHPより画像引用)
食べる前から美味しいイメージが全く湧かないですよね。あんな色のものを生まれてこの方口にした事ないですから。笑
ただ食べて見たら割と本格的なカレーで美味しかった記憶がありますが、その見た目のインパクトが強すぎてあまり覚えていません。(変わり種のプレゼントとしてはおすすめです)
あえて普通では考えられない色のカレーは、インパクトもあり興味本位で買う人はいますが、これをおいしそうと感じる人はほとんどいないのではないでしょうか。
お皿の色や形でも味が変わる?
皿ごときで味が変わる?と思う方も多いでしょう。それが実は大きく変わるんです。
ある研究で、白い皿、黒い皿に全く同じストロベリームースを置き、食べ比べてもらうと、多くの人は白い皿のムースの方が黒い皿のムースに比べて、甘くてフレーバーが強いと判断しました。また四角の皿と丸い皿に全く同じムースを置いたら、丸い皿の方を甘いと感じる人が大半でした。お皿が料理に与える影響は思ったよりも大きいんです。
さらに皿は味を変えるだけではなく、その料理自体の摂取量も変えます。ある療養施設では、皿の色を変えるだけで患者の食事量を大幅に増やした例もあるそうです。
このように一部の医療機関では、皿に工夫を加える事で、患者の食事量を調整しています。
「料理の見た目」による悪い影響とは?
「料理の見た目」が、「おいしさ」にいかに影響を与えているのかお分かりいただけたかと思います。私たちの想像よりもはるかに見た目は重要なんです。
そして私たちは、「料理の見た目」によって悪い影響を受けることさえあります。
「フードポルノ」であふれた現代
皆さんはフードポルノという言葉を聞いたことがありますか?
フードポルノ (food porn) とは、料理店などで料理や食事風景を魅力的に写し、視聴者の感覚を刺激する絵・写真・動画などを指す。フードポルノはしばしばフードフォトグラフィーという形をとり、それはお色気写真 (glamour photography) やポルノ写真と同じようなやり方で食べ物を刺激的に提示する。
Wikipediaより引用
欧米では昔からフードポルノという言葉はありました。しかし、インスタグラムなどのSNSの隆盛もあり、魅力的な料理の写真が人々の目に触れる機会は格段に増えました。
その流れからインスタ映えするような料理を作るように気にかけてるシェフも多くなっています。
イスラエルにある「カティート」というレストランでは、お客さんのためにテーブルにカメラスタンドを用意し、料理を360度回転できるようになっています。どれもお客さんが完璧に写真をとれるようにするための工夫だそうです。
「おいしさ」の錯覚p95を参考
「フードポルノ」が与える悪影響
おいしそうな料理を見るだけなのに悪影響なんてあるの?と思うかもしれませんが、実は専門家の多くが問題点を上げています。
食欲が増す
空腹でない人でも、おいしそうな食べ物を見ているだけで、食べ物に対する飢えと食欲が引き起こされます。
不健康な食生活を促進する
見栄えのいい料理は往々にして高カロリーで不健康なものが多いです。また、私たちがテレビに映される料理の内容と量を適切とみなし、自宅やレストランでも同じような料理と量を食べてしまう可能性を助長します。
精神を疲弊させる
食べ物のイメージを眺めると、脳は必ず精神的なシミュレーションを始めます。つまり、その食べ物を自分が口にしていることを想像します。そのつど「食べたい」という誘惑に抵抗せねばならず、脳が疲弊してしまう可能性があります。
これほどの影響力があるということを認識しておくことが重要だと思います。
まとめ
料理の見た目がいかに影響力があるのかわかって頂けたかと思います。
気にせずに過ごしている人がほとんどだと思いますが、少し「見た目」を工夫するだけでおいしいと感じさせることもできます。
また、フードポルノも魅力的でついつい見てしまうものですが、ほどほどにした方がいいかもしれませんね。