日本食の本質を知っているのは、実は外国人の方かもしれません。
コロナウイルスの影響で日本へ観光にくる外国人は激減しました。しかし、落ち着いてくればまた以前のように3,000万人や4,000万人の外国人が日本へ来ることでしょう。
そして、あるアンケートによると、日本にくる目的は「日本食を食べる」が90パーセントを超えて1位だったそうです。
2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録され、食文化として認められたことからも外国人にとって「日本の食」というものに大きな関心があるのでしょうね。
そして日本人にとっては当たり前の「食」を、外国人家族の目を通して改めて知る。
そんな本が【英国一家、日本を食べる】(著マイケル・ブース)です。
タイトル通りですが、英国一家が日本を観光しつつ、様々な日本の食を食べ歩き、日本について学んでいくというエッセイです。
今回はこの【英国一家、日本を食べる】の魅力を紹介していきます。
【英国一家、日本を食べる】の魅力
マイケル・ブースの人柄
Tokyofmより画像引用
まずこの本の作者であり、主人公のマイケル・ブースがこの本の一番の魅力と言えるでしょう。
マイケルブースは、英国生まれのトラベルジャーナリスト・フードジャーナリスト。パリの有名料理学校ル・コルドン・ブルーで1年間修行し、ミシュランの3つ星レストランでも働いていたという経歴もあります。
このマイケルブースのユーモアや言い回しのセンスがすごいんです!
英国人独特のブラックユーモアと、確かな料理に対する知識、食への好奇心がどのページにもみてとれて飽きることなく読むことができます。
例えば・・・
テレビなのでもよく出演されている、京都『菊乃井』の村田吉弘さんと対面した際には、
後から入ってきた村田氏は、がっしりとした体格の人だ。短い黒髪にウェーブがかかっていて、生活感のあるクルミみたいな顔をしている。厳しくて生真面目な禅僧のような人を想像していたけれど、実際の村田氏はのんびりとした堅苦しくない人だった。
英国一家、日本を食べる P145
クルミ。笑 その後にフォローしてますが、結構失礼ですよね。笑
ただ村田さんの顔を見たことある人は、何がだわかる気がすると思います。
こういったユーモアが各所に散りばめられており、マイケルブースがどういうことを考えているかリアルに想像できることがこの本の一番の魅力といえます。
ブース一家の日本珍道中
本のタイトルにもあるように、マイケルの一人だけで日本にきている訳ではありません。
ただ単に取材目的だけではなく、家族で日本を訪れ、家族の目を通して日本の食を見たからこそ、ほかの本にはない温かく味わいのある作品になっています。
マイケル、マイケルの妻リスン、息子のアスガー、エミルという家族4人が3ヶ月間も日本に滞在して日本の文化や食を学んでいくのです。
マイケル自身も、
妻や子どもたちの目を通して日本を見ることが、旅の何よりの面白みでもあるからだ
英国一家、日本を食べる P185
といっており、取材だけでなく、家族に日本の多様性を味わって欲しいという気持ちも大きいことがわかります。
旅行の途中では、力士の把瑠都と勝負するアスガー、道頓堀で息子たちに振り回されるマイケル、沖縄でヘビのスープを食べて事を自慢しまくるエミルなどなど、リアルな家族の旅行記としてみることができ、単なる食に関するエッセイではない面白さを生み出しています。
なんとアニメ化もされてます!
「英国一家、日本を食べる」は、なんとアニメ化もされており、dアニメストアで観ることができます。ポップなテイストでコミカルに描かれており、本で読んだイメージ通りの出来でした。
気になる方は是非dアニメストアに登録してみてくださいね。
日本の食について改めて考え直すきっかけになる
この本を読むと、日本の当たり前が外国の方には当たり前ではないと気付かされます。
それは、一般的に言われる食文化の違い(クジラを日本では食べるがほとんどの国では食べないなど)だけではなく、食材以外の出汁文化、味噌文化などから、もっと身近なものでしたらお通し文化や飲み放題文化などの日本独自を見つめ直すきっかけにもなります。
まだまだ魅力を伝えきることができていませんので、ぜひ【英国一家、日本を食べる】を読んでみてください!!